Interview
大学入院入学と研究の内容について教えてください。
基礎研究から見つける新たな可能性。 がんの様々なメカニズム解明を目指して。
私は大学卒業後、2年間の初期研修と3年間の腫瘍内科医としての臨床経験を積んだ後、呼吸器腫瘍内科学講座の大学院に進学しました。学生時代から思い描いていた基礎研究への興味が、その動機でした。基礎研究というのは、生命現象や疾患のメカニズムを分子・細胞レベルで解明するため実験的な研究のことです。臨床研究が、患者さんを対象とした治療介入の有効性・安全性を科学的に検証する研究であることに対し、基礎研究は、分子・細胞レベルでの生命現象を掘り下げ、病態生理学的理解から新規治療標的の同定などを目指すことに主眼を置いています。私の研究では、複数の癌腫の発がん・転移の分子メカニズムを解明できるような実験を進めており、その知見が、将来的に臨床応用に繋がることを期待し、日夜研究に没頭しています。
また、臨床現場から得られた知見や課題を実験的手法で検証し、その結果を臨床にフィードバックするという、基礎と臨床の橋渡し研究についても尽力しています。研究仮説の検討を通じて得られる新規の知見に、日々やりがいを感じています。

基礎研究の意義とは?
なぜ、がんは発生するのか。本質的な問いに答えを与えるのが基礎研究の役目。
がんは多臓器に影響を及ぼし、免疫システムやゲノム変異と密接に関連する疾患です。近年、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など治療選択肢が多様化し、遺伝子プロファイリングに基づいた個別化医療が様々な癌腫で標準となりつつあります。また、治療効果予測および薬剤耐性機構の解明には、分子生物学的手法による詳細な機序の検討も必須です。昨今では、肺がんを含む様々な癌腫において、ドライバー遺伝子変異に対する分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など、幅広い治療選択肢が挙がります。適切な治療戦略の確立と獲得耐性の克服には、基礎研究による分子メカニズムの解明やバイオマーカー探索が重要な役割を担います。
分子生物学的研究で得られる知見とトランスレーショナルな視点は、がん医療の発展に寄与する可能性を秘めています。基礎研究で培った分子メカニズムの理解とバイオマーカー探索の経験を活かし、個別化医療の進展に貢献できればと考えています。


呼吸器腫瘍内科の良いところを教えてください。
医師としての学びを深められる環境。 尊敬できる先輩たちに囲まれて。
尊敬できる先生方がいることです。肺がんに特化しながらもそれぞれの専門分野があり、患者さんに寄り添いながら医師としての専門性を突きつめています。その背中を見て刺激を頂くことができ、医師として非常に恵まれた環境にいると実感しています。
私は、日常診療から生じる臨床課題(Clinical Question)を解決するため、論文から科学的知見を収集し、研究に展開することもあります。日々の中でつまずいた際には、相談できる先生方に囲まれているからこそ、全力で研究に没頭できるのかもしれません。ともに、肺がんなどのがん診療の学びを深めていきたい人はぜひ、お待ちしております!

呼吸器腫瘍内科の未来を担う
皆さまへ
一人一人に最善の治療を届ける
Delivering the best
treatment to each patient