関西医科大学 呼吸器腫瘍内科学講座

Department of Thoracic Oncology
Kansai Medical University

KAMISAKO KEISUKE

上硲 敬介さん

専攻医

major

入局の理由と、現在の研究について教えてください。

呼吸器について幅広く学びながら、がんに特化した知識と技術を身につけられる。

私は2023年に呼吸器腫瘍内科学講座に入局いたしました。入局の理由としては、 間質性肺炎、気管支喘息などの呼吸器良性疾患について幅広く経験しながら、胸部悪性疾患に特化した知識と経験を習得できる環境が整っているためです。入局して2年近くが経過し、内科疾患全般、肺がんを中心とした呼吸器疾患を広く経験することができ、日々の診療を通じて成長を実感しております。
現在、ROS1融合遺伝子陽性肺がんの治療に関する研究に取り組んでおります。具体的には、分子標的薬投与前後に出現する特定の遺伝子変異が、後続の治療効果へのどのような影響を及ぼすかについて研究しています。ROS1融合遺伝子陽性肺がんには数種類の分子標的薬が保険承認されていますが、この遺伝子変異は希少であり、症例数が限られているため、治療戦略に関する明確なエビデンスは十分ではありません。当科では多数の肺がん症例を経験できる特徴を活かし、希少なドライバー遺伝子変異症例についても知見を集めることができます。解析された遺伝子変異の結果を論文化し、治療の発展に貢献することを目指しています。

呼吸器腫瘍内科の果たす役割について教えてください。

がん薬物療法の新たな地平線。一人でも多くの患者さんを 救うために。

近年、がん薬物療法は著しい進歩を遂げており、根治不可能なステージⅣの進行がんであっても長期生存が可能となってきました。日本のがん治療は歴史的に外科医が中心となって担ってきており、現在も多くの施設で外科医の先生方が手術診療の合間に抗がん剤治療や副作用管理を行われています。しかし、近年のがん薬物療法の進歩により多数の抗がん剤が使用できるようになったため、がん薬物療法は複雑化しており、治療する上でより多くの知識、経験が求められるようになってきています。特に、免疫チェックポイント阻害薬による副作用は免疫関連有害事象 (irAE) と呼ばれており、従来の殺細胞性抗がん剤以上に慎重な副作用管理が必要とされます。また、がん薬物療法の進歩により長期生存が目指せる時代となったことから、治療戦略の重要性も増してきています。このような背景から、がん薬物療法を専門的に行う腫瘍内科の重要性は日々高まってきており、患者さんの長期生存を支えるためにも、薬物療法を適切にマネジメントできる専門医の存在が不可欠となってきています。

臨床現場でのやりがいを聞かせてください。

患者さん一人ひとりの生き方と向き合いながら、最善の道を探っていく。

がん薬物療法の進歩により、進行期の肺がんの患者さんでも長期生存を期待できるようになりました。がんの増大を認めずに元気に過ごされる患者さんを診ることができるのは、治療の効果を実感できる喜ばしい瞬間の1つです。一方で、ステージⅣの肺がんは根治が困難な状態であり、多くの患者さんは病勢進行で亡くなってしまうのが実状です。それは辛い現実ではありますが、新しい症状が出現してきた際の適切な治療による症状のコントロールや患者さんの気持ちに寄り添う精神的なサポートなどの緩和ケアを通じて、その人らしい生活を支援できることにやりがいを感じています。私は、患者さんひとりひとりにあった治療を提供できるように最新の知識を習得しつつ、患者さんの希望に沿えるように日々の診療でのコミュニケーションを大切にしています。

呼吸器腫瘍内科の未来を担う
皆さまへ

一人一人に最善の治療を届ける

Delivering the best
treatment to each patient